復職支援デイケアについて

 

1.概要

 当院の復職デイケアでは集団活動の中で、疾病理解、セルフモニタリング、セルフコントロール、コミュニケーションスキルを身につけ、復職準備性を高めることで再発防止を目指します。午前中はデスクワークを中心とした個別プログラム、午後はグループワーク中心のプログラムを実施しております。復職後は職場集団に戻られるわけですから、集団の中でのご自身の対人関係のパターン等、情緒的な部分も含め、気付きや理解を深めていかなければ、症状が改善したとしても、仕事のストレスが加わることで、また同じように再発を繰り返す可能性があります。そこで、グループワークでは、ストレスに対する対処法や再発防止策を考えるだけではなく、集団の中での体験を自身の洞察や成長に役立て、たとえ、復職後、うつ的な状況に陥ったとしても、休職に至らず仕事を続けるだけの「心の耐性」を身につけることを目的にプログラムを展開しています。

 

2.デイケアプログラムのスケジュール

3.デイケアプログラムの流れ

  デイケア利用期間は平均4か月〜6か月程度です。毎日会社に出勤して頂くように、まとまった期間、集中してリハビリテーションを受けて頂くことで、再休職防止をより効果的なものにしていきます。再休職防止を目的とした「復職プロジェクト」を本人主導で遂行し、スタッフ、利用者がチームの一員となって相互学習しながら復職を目指します。

 個別支援計画は、下図の通り、初参加から卒業までを、モニタリング段階、課題抽出段階、復職準備段階に分けて、各段階に他職種のスタッフが担当して個別支援を行います。

3.デイケアプログラムの内容

1)個別プログラム

@活動記録表の作成と振り返り

  健康な状態の時の生活リズムを取り戻すことを目的として、毎日、日中活動、睡眠時間、気分と疲労のチェックを行うために活動記録票を作成して頂きます。これは生活リズムを整えたり、うつ病エピソードに先行する生活習慣を見つけ出すことだけでなく、気分と疲労のチェックを行い疲労感や否定的思考や感情が起こる前後の行動を分析することで、行動を活性化する(うつの再発を防止する)生活習慣を構築したり、問題解決するための対処法を見つけ行動計画を立てるための有効なツールとなります。最終的なモニタリングの目標は、うつ病に見られる、逃避、回避行動を本人が理解し対処行動に変えることを目指します。不快な感情を感じないために行う行動が逃避行動であり、逃避行動を続けていく結果、その状況自体を避ける行動をとることが回避行動です。これら活動記録表は1週間に一度小グループに分かれて、共有し振り返ります。

 A個別カリキュラム

  午前中、デスクワークを想定した自習を行います。日中業務に耐え得る集中力や眠気の有無等をモニタリングします。また、体調に合わせて無理のない業務量を把握する方法を身に付け復職後の作業管理に役立てます。更に、参加第四週目からは、火曜、木曜の午後に、課題形式の個別プログラムに2週間取り組んでいただきます。 午後の眠気や集中力、作業遂行能力や疲労の程度をセルフモニタリングできることを目的とします。

B休職至る経緯とライフチャートの作成

なぜ自分は休職してしまったか推敲を重ね文章にまとめ、自己分析することで自らの問題点、課題を見つけます。また、ご自身が経験してきた、症状に伴うエピソードについて、図を使って表す「ライフチャート」を作成して頂きます。自分の病気の経過や誘因、1年の中で再発の可能性が高い時期があるのか等を確実な根拠を持って理解する事が目的です。午前中の個別プログラムの時間帯に行い、デイケア参加当初に取り組んで頂く課題となります。

C卒業レポートの作成

  企業担当者からみれば、デイケア利用者のイメージは休職当初のままです。何も問題がない時に調子が良いのは当たり前で、企業から求められることは、復職後、業務遂行を持続できるのかどうかです。従いまして、デイケアに通うことで、自身がどのように変化したのか、復職準備性を高めるためにどんなことに取り組んできたのか、再休職しないためにどのような対策を講じるのかを整理して頂きます。

  また、復職準備段階に入った方につきましては、現在の仕事と自分との関係を見直し、休職時、職場の人達や家族からどのように見られていたか、職場から求められることについても考察します。休職の原因を環境的要因だけではなく、自分自身にも問題があり、それに気付いて克服するという発想がなければ、復職後、また同様の症状を繰り返す恐れがあるからです。復職間際の不安の軽減、もしくは復職への自信回復に役立てます。復職へのモチベーション、自信回復を目的としています。

最終的には主治医、産業医、会社担当者に再休職しないことをプレゼンテーションできるようになることを目的としてレポートを作成して頂きます。他の利用者への発表の時間をもう受ける等フィードバックの時間を作ります。

2)集団プログラム

@アセスメントグループ

  参加して間もない利用者を対象に疾病理解、体調管理、生活リズムの安定を目的とした

心理教育を行います。セルフモニタリングを当事者研究と位置づけ、活動記録表を参考にしながら、体調の動き全体を把握して「具合が悪かったとき」「よかったとき」等に焦点を当て、利用者同士の相互交流を大切にします。

ASST(social  skills training

何回か休職を繰り返す方の多くは職場や家庭でのコミュニケーションについて、何らかの課題を抱えている場合があります。SST ではコミュニケーションスキルの回復と問題解決能力の獲得、認知技能の回復を目的としたトレーニングを集団で行います。具体的には情報を受け止め(受信技能)、考え(処理技能)、言葉に出して発信する(出力技能)練習をします。また、問題に直面した際の対処法を出しあうことで、問題解決技能を身に付けます。

B軽スポーツ

軽スポーツ通して、セルフモニタリング・セルフケアを身に付けることと、体力の回復と健康維持を目的にウォーキングを行います。歩くことを通じてセルフモニタリングを行い、健康の回復・維持・増進を図ります。

CWRAP(元気回復行動プラン)

自分自身が元気な状態でいるために現実的で実行可能な再発防止プランを自分の生活スタイルに合わせて作成します。

Dアロマリラクゼーション

気分に合ったアロマオイルを選択し、その香りの中で60分ほどかけてストレッチを行った後、横になりリラックスします。身体の感覚、状態をモニタリングし、疲れやストレスに対するセルフケア、セルフコントロールができるようにします。ストレスの強い状態が続いた時に備え、副交感神経を刺激することで心身をリラックスさせる方法を身につけます。

 Eグループカウンセリング

  年齢、性差、業種や会社での立場を超え、悩みを抱えた人達が集まり90分間、自分が今、感じていることや考えていること、話したいことを自由に話し合います。お互いの悩みを聞きあうことで、自分自身を振り返ることを目的としております。集団の中での対人交流を通じて、その時の自分の気分や思考、対人関係を振り返ります。当プログラムではグループ体験を自身の洞察や成長に役立て「心の健康」についてトータルに考えていきます。

F集団認知行動療法

自分の考え方の癖を捉えて、自分自身を客観視することで職場でのストレスに早めに対処していく力を身につけていきます。ネガティブな感情や気分の落ち込みをコントロールすることで、再発防止に役立てます。

 G職場ロールプレイ 

  小グループに分かれたゲーム形式のグループワークを行ったり、行事の企画やテーマ別のプロジェクトチームを立ち上げる等、不定期で行われるプログラムです。また、システム部(PC管理)、図書管理部、庶務部の三つの部署に所属し会社組織と同じ状況をつくり、チームで協働課題に取り組みます。 組織の中でのストレスのかかり方や会社での人間関係、求められる役割について振り返ります。役割交代し相手の立場に立つことで、自分を客観視する機会を作りセルフモニタリングに役立てます。

4.個別援助と企業との連携について

復職準備段階になりますと、任意ではございますが、通勤訓練、リハビリ出社、時間短縮勤務等、会社で用意されている復職支援計画と連携することも可能ですし、主治医の診断書と併せまして、リワークデイケアでの参加状況報告書をご用意することができます。また、必要があれば、当院にて本人を交えた担当者会議を開くことができます。

卒論レポートの課題を取り組んでいる間に、他職種のスタッフによる評価、観察期間を2週間設けます。これらの情報と本人のレポートを元にして、デイケア参加状況報告書を作成致します。また、この段階に入りますと、産業医、もしくは会社担当者と連携を取りながら、復職に向けた具体的な個別支援計画を作成していきます。デイケアから会社への移行期間として、徐々に働いている時の感覚を取り戻していくことを目指します。

5.再休職防止について

復職後、1年間は活動記録表によるセルフモニタリングを継続し、疲労や気分の変動、精神的ストレスを早めに察知し、デイケアプログラム中に作成した行動プランを実行し、修正を繰り返しながら再発防止を目指します。

うつ症状は、一般的に小さな改善悪化を繰り返しながら完治に向かっていきますので、復職後、どんな方でも多少の症状の揺り戻しがあります。従いまして、残業や責任のある業務につく際は、ご本人と相談しながら、計画的、段階的に業務の負荷をかけて頂き、一歩ずつ自信を回復して頂けるようなサポートが得られることで、再発防止のリスクが軽減されます。 

また、「職場の期待する役割を維持し果たせること。(戦力になること)」をゴールとし、どれくらいの負荷を、どの程度、どのくらいの期間かけていけば達成できるかという目標管理をご本人、業務担当者と作成し実行していくことも大切です。会社担当者と本人とが相談し折り合いをつけていく作業そのものが、ご本人にとって「心の耐性」を身に付ける機会となります。

 

 

心の風クリニック復職支援デイケア